寄り道ブログ
寄り道な人生をしています。読んだ小説や、見た映画・アニメの感想などを投稿していきます。
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星海社FICTIONS ビアンカ・オーバースタディ 感想
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 筒井康隆さんのファンであるわたしにとって、この本は読まなければと思って買っていたものの、最近やっと読むことができたので感想でも書こうかと思います。
 小説感想もすっごい久しぶりだ・・・。
 筒井先生のライトノベル! という触れ込みで、いとうのいぢさんのイラストと共に楽しめる本作。あとがきにもありましたが、この作品は「これをきっかけに筒井作品に誘導する作品」であり、もともと筒井先生の作品が好みの人には、少し合わないんじゃないかなと思ったりしました。

 同じ表現が何度もでてきたり、精液だったり美女だったり、筒井先生はライトノベルをちょっと勘違いしているんじゃないかと心配になってしまう部分もありましたが、やはり癖のない読みやすい文章は健在です。主人公のビアンカはいつも部室で研究をしていますが、その描写も細かく、ウニの生殖行為や、実験に必要な道具の数々などが詳細に書かれていて、この辺はさすが筒井先生という感じ。

 オーバースタディというのが「度を越えた勉強」という意味とすれば、実験用の受精卵を盗む男だったり、やくざから睾丸を切り取るヤンキー女子だったり、そもそも実験のために精液を採取しようとしたり、なかなかクレイジーな登場人物たちで、この辺はこの作品の個性だったと思います。研究のための狂気めいた行動が面白くもあり、怖くもありました。でもその不安定さが、青春という感じがしてイイ。

 先輩部員をきっかけに、この作品は時をまたにかける展開になりますが、この辺は「主人公が女」ということもあって、「時をかける少女」っぽいですね。むしろ、それを意識したのかとさえ思います。帯には「現代の時をかける少女」という煽り文もありますしね。

 未来の人類が衰弱している→現代の男性が軟弱になっている、という展開の繋げ方は、若者批判ではあったかもしれませんが、未来の様子を描くことで説得力が増していました。若者を批判しているわけではなく、ただの現代風刺、もしくはただの題材として使った程度かもしれませんがね。筒井先生は、こういった先見性のある描き方をすることが多く、しかも、なかなか的を射ていることが多いです。SF小説の発想の仕方や、お手本として非常に優秀な作家先生であることは間違いないでしょう。

 あとがきには編集者への恨みつらみ、そして続編構想はあるものの根気がないという正直な感想が書かれていて、続きがないのがほぼ確定しているのが残念なところです。しかし、内容のわりには短くて薄く、けれども値段は高くて割高感がありますから、よほどの筒井先生ファンか、いとうのいぢさんのファンの人くらいでなければ、読む価値はないかもしれません。

 巨匠にライトノベルを書いてもらう、というのはいい企画とは思いましたが、こうやって実際に読んでみると、なるほど筒井先生のいうように、「既存のファン」はコレジャナイ感を感じることでしょうし、けっきょく「新規ファン」獲得のための作品になってしまうんでしょうね。

 というわけで、ビアンカ・オーバースタディ感想でした。

 割高感はありましたが、ずっと前に購入して忘れていたくらいなので、あまり痛い出費とは思いませんでした(意味不明)。しかし、これから読んでみようという場合は、古本屋を探したり、立ち読みできる場合は立ち読みしてみたりして、じゅうぶん調べてから買った方がいいかもしれません。
 でも、いとうのいぢさんのイラストによほどの興味や執着がなければ、筒井先生の適当な著作を買った方が、ボリューム的にもお財布的にも内容的にもいいんじゃないかと思います。文章量も、ちょっと長い短編という感じですからね。
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