寄り道ブログ
寄り道な人生をしています。読んだ小説や、見た映画・アニメの感想などを投稿していきます。
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TVアニメ 幻影ヲ駆ケル太陽 まるごと感想
幻影太陽

 お騒がせスタッフ(失礼)が多く参加していたことで、当初は波紋を呼んでいましたが、蓋を開けてみればなかなか面白い作品が完成していました。
 設定に既視感はあるものの、続きが気になるアニメだったというだけでも、私としてはじゅうぶん成功したレベルと言えるでしょう。セールス的には成功していないみたいで、今後の展開が期待できないのは残念ですが。

【概要】
 タロットの力でダエモニア(敵)を倒していく少女たちのお話。主人公あかりは、幼なじみがダエモニア化して死んだことで、また、自分がタロットの力で人をダエモニアの魔の手から助けられるということを知り、タロットの力で戦う決意をします。

【設定】
 まず、うまくできていたというのは設定と、その設定をうまくいかした展開でしょう。
 ダエモニアになるタロットと、あかりたちが使用するエレメンタルタロット。さらに大元であるアイオーンタロット、対消滅、アストラルクス、クレシドラ、レグザリオ・・・これら固有の要素は、そのままどこかで見たことのあるような役目を担っていましたが、いわゆる「魔法少女モノ」として考えると、そういう設定の類似はよくあることですし、これらの設定を、うまく開示していったのが、この作品のうまいところではないでしょうか。


 主人公はタロットやダエモニアとは無縁の生活をしていて、まず敵を知り、味方を知り、自分の力を知ります。ダエモニアという敵には色んなやつがいることを知り、異形の化物とされていた彼らにも人間の意思があることがわかり、それをあかりだけが聞くことができるという主人公らしい特殊能力も判明します。しかも、その要素で味方たちが考え方を改めたり成長するという初期の展開も面白いですが、あかりの父親がダエモニアという事実が明かされたときは衝撃でした。能力はただの主人公要素というだけではなく、彼女の出生の秘密につながっていたんですね。意外な真実というのもまた、視聴者を驚かせてくれる要素のひとつです。

 設定の明かし方がうまいのは、そもそも味方側が、敵のことをよくわかっていないという設定がうまく働いているようです。だから、あかりが声を聞けるということがわかったときも、周囲は半信半疑だったり反発したりという反応をしつつも、次第に受け入れる展開になっていく・・・新設定が出てきても、受け入れやすい土壌があったといえます。
 対消滅という要素が出たときも自然でしたし、それによって死んでしまったと思われていた仲間が再登場したときも、別世界の存在が示唆されていて、そこへ行っていたという説明でしたし、対消滅のシーンもそういう映像表現になっていました。そもそも味方側が「対消滅への理解が不十分だった」というだけで済みますからね。そういう驚きを断続的に投入して、視聴者をうまく揺さぶって楽しませてくれた作品と言えるでしょうね。

【作画・デザイン】
 キャラクターデザインは、小さな少女ばかりという感じで、ちょっとクセはありますね。男も少女に見えたり、大人の男性にちょっと違和感があったりしますが、それはまあ個性の範疇ですし、見るのが苦痛というほどではないでしょう。
 というか、惡の華でさえ楽しめた私としては、絵はそれほど評価対象ではないので(むしろ惡の華はあの絵だからこそよかったですけど)、そこで選り好みする人の気持ちはよくわかりません。

 タロットカードの絵はゴチャゴチャしていて、一見して何のカードかわからない場面は多々ありましたが、そもそもわかる必要はあまりなかったりするので、その辺はスルーしています。作中で「太陽」や「節制」などの補足があれば、わかることですからね。

 アストラルクスという空間に入ってダエモニアたちと戦うあかりたちですが、タロットの力を使うと変身します。その変身後のデザインなどは、どういう意匠かはよくわかりませんが、みんなかっこいいのは見どころのひとつじゃないでしょうか。主人公がキタロウ風になってイケメンな性格になるのも面白い。まぁ、厳密にはそれほど内面は変化しているわけじゃないっぽいですが。

 OPもそうですが、戦闘シーンはけっこう動いていて、状況なども組み合わさって非常にハラハラできる場面でした。対消滅や、ダエモニアの声などが、その戦闘をただの消化試合にはせず、倒す倒さないの間で葛藤したりという要素が、戦闘を非常に盛り上げてくれました。常に登場人物たちを苦悩させる姿勢はよかったですね。

【シナリオ】
 初期は、あかりが加入して敵を倒すことを決意するまで。中期はあかりを通じて仲間たちが考えを改めたり成長したり覚悟したりするお話。後期はかなり攻め込まれてしまい、仲間が離散しながらも再集結して本丸を倒す、という感じ。

 個人的には初期~中期のテイストが好きで、後期はちょっと展開が雑だったり、たたみ方が急だった気もしましたが、広げる話よりたたむ話の方があっさりしているのは当然といえば当然かもしれません。でも、味方のダエモニア化や能力消失など、非常に色んなバリエーションを各キャラで見せてくれて、無駄なキャラが一人もいなかったというのも実にうまい。こり固まった設定というわけじゃなく、それほど応用のきく器の大きさがあったことに驚き。

 しいて気になった部分をあげるなら、先輩二人があまりいらなかった気もします。でも、設定上、新人であるあかりたち四人の他にベテランがいないとおかしいですし、そういう「設定の補強」という意味で、先輩たちも必要だったのでしょうね。あまり気になるところじゃありませんし。

 ダエモニアはまだ全滅していないということ、上層部らしき高位の存在(レグザリオ)がいるということ、あかりたちの海外遠征と、未来を感じさせる話ではありましたが、そこが語られないのが残念。
 単なる「それはまた、別のお話」という終わり方と見てもよいのですが、この作品に関しては、ダエモニアという敵は非常に厄介かつ非現実的な存在なので、その敵をどうするのかまで見届けたくなるのは、ここまでハマったファンなら誰しもが思うところかもしれません。

 この終わりは、仮面ライダーWのような終わり方に近いかもしれませんね。あちらがドーパント=悪の心ととらえて、悪はなくならないけど彼らは戦う、と伝えたように、この作品も、ダエモニア=弱い心はなくならないけど、あかりたちは戦い続ける、という、救いがあるのかどうかわからないノスタルジーさえ感じるラストなのは絶妙なバランスです。一応、一件落着はしていますからね。
 仮面ライダーWでは、相棒との再会の感動も同時に表現していましたが、幻影ヲ駆ケル太陽では完全に「彼女たちの戦いは続く!」という展開なので、その微妙な差異が、清々しいラストとなるか、続きが見たいとなるかの違いじゃないでしょうか(Wは続きが見たいという風には思わなかったので)。

【総括】
 最高にかっこいいOPだけでも見る価値はあると思いますが、どうせならそれだけでなく、本編まで見ちゃってくださいという感じの作品。けっこう山盛り設定のはずなのに、1クールで綺麗に描ききっているのは非常に見やすかったです。設定の作りというよりも、その披露の仕方がなにより上手だったという印象。だから無理に覚えようとしなくても、自然と覚えていきましたね。

 設定の開示も終了し、敵が攻勢に出た終盤は、ちょっと中だるみをした(後半なのに)印象がありますが、そこまで見ているほどのファンであれば、彼女たちの行く末が気になってラストまで見てしまえるでしょう。

 暗い、重たい印象の作品でしたが、一応のハッピーエンドにたどり着けたのもすごい。バッドエンドというのは実は簡単につくってしまえるので、今までの成長や頑張りをすべて無駄にするというメッセージにしたい場合は、それでも構わなかったでしょう。
 でも、ちゃんと彼女たちは、一応ですがハッピーエンドに到着できましたし、これからも戦いを続けるという前向きな姿勢は応援したくなりますね。だからこそ、続きが見たいと切に願ってしまうのですが。

 ラストであえてつっこみどころをいれるなら、尺が微妙に足りていなかったというか、敵を倒したあと、お世話になった人たちやサブキャラクターたちも登場させてあげてほしかった(占いの館の人たちや、ぎんかの父、せいらの友達など)。
 今までに登場した人たちが出てくるだけで、最後の感動がかなり高まったかと思うと、そこだけは残念でなりません。初期や中期もいいエピソードばかりでしたから、この1クールをまとめる意味でも、後日談的なシーンはもう少し時間がほしかった。でも、もしそれがあったら、涙ドバーだったんじゃないかと思います(苦笑)。
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