寄り道ブログ
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TVアニメ selector spread WIXOSS まるごと感想
wixoss.png

 久しぶりのまるごと感想は、やっぱりこのアニメ!
 2期は期待と不安がありましたが、selectorらしい、そして実に清清しいラストでした。

 【概要】
 一期「selector infected WIXOSS」からの完全なる続編。むしろ本作がないとアニメ「selector」は完結しないので、一期を見て、なおかつ好きになった人ならば、まず間違いなく視聴していることでしょう。
 カードバトルアニメであり、カードの販促が副目的としてありますが、それがあまり露骨ではないというか、従来のカードアニメのテンプレートには反した内容になっているため、カードに興味の無い人もけっこう見ていた印象があります。窓口が他のカードアニメより広かったわけですね。
 もちろん、カード好きの人たちも見ていて、ゲームのルールはわからないものの、その脚本力にグイグイ惹かれていった印象があります。これはこのアニメの特徴であり、本作が大成功を収めた要因でもあるでしょう。

 一応、モノガタリ的な概要を書かせていただくと、市販されていたカードゲーム「WIXOSS」の中には、意思を持って絵が動く特別なルリグカードが存在する・・・という噂が、まことしやかに語られていました。
 そんなとき、兄が気遣いで買ってきてくれたWIXOSSのデッキに「タマ」が入っていたことにより、主人公・小湊るう子は、セレクターバトルへと身を投じることになります。

 【一期のおさらい】
 一期は主に、るう子とタマが友情を育みながら、色んな友達や敵と出会っていき、さらにはセレクターバトルの真実が次から次へと明かされていく・・・という内容でした。初心者狩りをしようとしていた遊月、バトルをしかけてきた一衣、モデルでセレクターの晶(通称アキラッキー)などなど。
 さらに、セレクターバトルを通じて、色々なルールと謎が見えてきます。
 「勝利して条件を満たすと願いが叶えられる夢限少女になれる」、「三敗すると願いが反転して災いになる」、「三敗したルリグは白窓の部屋へ行く」、「そこには繭という少女がいる」・・・。
 これら「セレクターバトル」の秘密を解き明かしていくのが一期だったと、わたしは理解しています。そしてラスト、勝って夢限少女になれそうだったるう子でしたが、タマが拒絶したため夢限少女誕生が中断、逆に相手が夢限少女になってしまいます。このバットエンド極まりないダークな終わりだったので、非常に悶々としたのを覚えていますし、ここまでがすごく面白かったので、二期にはまったく不安はありませんでした。
 ひとつの作品として考えると、流れがあまりにもぶつ切りになってしまうので、その方針(分割2期)には異議を挟む余地がありますが、アニメをやっていない間のカード販売の都合もあるでしょうし、そもそもすぐに2期をやることがわかっていたので(やるかどうかもわからない状況ではなかった)、それだけでもじゅうぶんでした。一時期、2期やるかもわからないくせに、明らかなぶつ切り、明らかな2期への引きで終わるアニメがままありましたからね。

 【二期の全容】
 一期がセレクターバトルを解き明かしていくことだとすれば、二期はタマ、イオナ、そして繭という少女を解き明かす物語だったと、わたしは解釈しています。
 繭とは、白窓の部屋に存在する謎の少女で、なんだか事情通のようでしたが、その実態は、セレクターバトルの生みの親であり、タマとイオナのオリジナル人格でした。
 繭の仕業で、セレクターバトルは誰も得しないようなルールになっていたり、勝っても負けても損をするような構図になっていたわけです。繭は外の世界に憧れ、外の世界を謳歌する少女たちに復讐したかったんですね。だからこそ、セレクターバトルは勝っても負けても悪夢のようなルールになっているわけです。

 一期の相棒・タマとは最終回で離れ離れになってしまい、二期では押しかけ女房的にやってきたイオナが、るう子のパートナーでした。るう子からすると、タマと離れ離れになってしまった原因の張本人でもあるので、最初は無下に扱いますが、次第に仲良くなっていく仮定が、敵との和解であり、難物だった人と友情を結ぶ構図にもなっていたのが見事。しかもそれが、イオナ=繭の悪性ということが判明したことで、同時に繭攻略の糸口にもなっていました。
 イオナと友情を強めていく反面、タマは新たなパートナー・うりす(元ルリグだけど人間化しているためひらがな表記)にかなりいいように扱われてしまい、さらには黒化するところまでいってしまいますが、それもるう子がイオナを白化(というかレベル5グロウ)させることの対比になっていましたから、いいピンチ感の演出になっていました。むしろ黒タマを倒すということをせずに乗り越えた展開が意外なくらいです。

 最後、繭は死んでいるという事実を現実世界で一衣たちが突き止め、るう子も繭自身からその情報を引き出します。そうすることで、言わば自分の死を認めていなかった亡霊が死を認めたような形で、繭の世界は崩壊し、繭の内面を言い当てることで、るう子は彼女を救いました。彼女を孤独から救い、友達になることがセレクターバトル終結の鍵だったわけです。それができるのは、彼女に恨みを持とうとせず、イオナと友達になれたことを前向きに捉えるるう子だったからでしょうね。

 【作画、音響、演出】
 作画はそれほど特出した作品とは言えませんが、ところどころ「おっ」と目を引くシーンがあるのは、個人的には非常にツボでした。例えば一期、二期のそれぞれ一話(だったかな。二期は二話くらい?)で、つまりそのシーズンで初オープン(初バトル)するときです。一期ではタマ、二期ではイオナが雄々しく立っているんですが、彼女を映しながらダイナミックに動いていくカメラワークが最高です。
 二期では他にもOP映像はカッコよくて好きですし、イオナが初めてレベル5へグロウするときや、同じくタマが初めてレベル5へグロウするときなど、決めるときは決めてくれる最低限の作画力はあった印象です。過不足なく、「やりすぎ」な作画がなかったのが、実にウィクロスらしい。

 そして、本作の本領を発揮しているところは、次の「音響」にこそあったと思います。声優さんたちの熱演・怪演もそうですが、戦闘シーンや緊迫したシーンを盛り上げるBGM群、そしてここぞという場面では声の収録方法を変えているのか、台詞ひとつですごくゾクッとくるシーンがいくつもありました。これはホラー作品の手法と同じなんじゃないかと思うほどで、ぶっちゃけ展開が繭の死に差し掛かってくると、ホラーでも差し支えない雰囲気はありましたが、まぁ手法はどうであれ、「音」によるパワーは、比重としてかなりあったな、という印象です。

 演出も同様で、晶がうりすを刺すシーンの無音や、その直前のシーンで晶が武器を見つけるときのわずかな動き、回想シーンで追い詰められていく少女たちの話などを見ていると、そういうしっとりした内容の見せ方がすごく巧みでした。話に引き込む力があるというか、じっくり映像に集中できるようになっているというか。
 その分、バトルシーンはちょっと冗長な部分もあり、その表現には四苦八苦していたように思えます。それでも、ただのバトルではなく、ストーリー的に重要な場面、例えばラストバトルや、イオナの初レベル5、ちより脱落のバトルなどは、相応にしっかりと描かれていたので、これは単純に労力の配分という感じがしますね。力を入れるべきところにはしっかり入れている、と言えるでしょう。

 【残された伏線(?)たち】
 個人的には、昨今の風潮で何でもかんでも伏線と勘ぐる傾向には異を唱えたいところですが、とりあえず、本作でも伏線的なものはあり、それが回収されなかったんじゃないかと一部が騒いでいたのが目にとまったので、その伏線とやらを紐解いていきたいと思います。

 まずは、一期一話に出てきたタマらしき謎の怪物です。これは一期のOP映像や二期のOP映像に出てきたものとも同じでしょう。あの怪物は、タマのバトル狂な面を表現したと思っていましたが、うりすに入られたことによって黒タマと化すことを示唆していたようでもありました。タマが黒化したときにそのシーンがフラッシュバックしたので、あの怪物は黒タマということでまず間違いないでしょう。一期のころから示唆していたかは不明ですが、タマが黒化するような展開は、もともとの予定で織り込み済みだったはずです。

 次に、伏線らしい伏線といえば、「棒」の存在です。これも一期一話の冒頭でいきなり登場し、意味深にたびたび登場したワードですが、この「棒」が何かと言われると、作中ではあまり明言されていませんでした。
 二期最終話で通称浦添ビルが完成したとき、「棒が入っても消えなかった」という結論が出ていましたが、個人的には、作中で棒というのは、いくつも登場していたんじゃないかと思います。
 まずは浦添ビル。一期ラストでは建築中でしたが、一応棒としての見た目はしていましたし、このビルを舞台に一期はクライマックスを迎えました。これも一つの終末を意味しているんじゃないでしょうか。
 他にも、繭の世界(白窓の世界)には偽物の街みたいな風景が広がっていて、そこにも大きな塔のようなものがありました。終盤、タマはそこに閉じ込められ、なんとか出ようとしますが、「出口がない・・・」と苦悩します。しかし、タマは出口はそこにあるとして、扉を見つけ、巨大な塔から脱出します。タマが塔から出たことでイオナと合体してマユになることができ、それが言わば、繭の終焉、繭の世界の終わりを意味していました。
 ちょっと脱線しますが、塔にいたときのタマは、繭によって自分と同じ目に遭わされていました。タマが扉を見つけられたのは、「もともとそこにあって、自分で出る意志があった」から出られたのでしょう。きっと繭も同じで、研究はされていたかもしれませんが監禁されていたとは限らないので、繭も出ようと思えば部屋から出られたのではないでしょうか。
 あと、「棒」のようなものと言えば、るう子とマユが契約して夢限少女が誕生するとき、青空に白い柱が出てきました。この「棒」によってセレクターバトルは終わりを告げましたし、どの棒も、何らかの「終わり」に関係しているという意味では、「棒で消える」ということになっているかな、と思いました。

 他に伏線らしい伏線はなかったと思いますが、何にせよ、それほど疑問の残る内容ではなかったと思います。強いて言うならば、元に戻った少女たちがどういう生活を送っているのか、漫画版に登場するリメンバなどが元に戻っているのかなどが気になりますけどね。ウリスは最後消滅したので、人間には戻れませんでしたが、あれが「人の命を殺めた」かどうかに由来しているなら、リメンバとかも人間には戻れていないと思うんですがね。他の漫画版のキャラがゲスト出演していたので、なおさら彼女の処遇が気になるところです。仮に、ピルルクがリメンバに復讐を果たし、すでに始末してしまっていたなら、同じ理由から、ピルルク(清衣ちゃん)が登場していたのも変ですからね。そういう決着はなかったのでしょうけど、リメンバはどうなっているのやら・・・。
 あとは、最後に登場してこの記事のトップにもある画像の少女が「タマ」なのか、ということです。外見上はタマですが、タマはマユになっていたはずで、ルリグの人間化という願いが叶っているなら、マユ→繭ということで繭が登場するならわかるのですが、ここでタマが出てくるのが案外謎なんですよね。
 マユだけでなくタマ、イオナも別カウントとすると、それぞれ三人が登場してくれたらまだわかるんですがね。イオナは能登さんの声の子(オリジナル)が登場していたっぽいですし、イオナはイオナで、一期ラストのときトーナメントを開いて色んな少女を不幸にしたりしたので、ウリスのような罰が発生したのかな。そして繭は、きっと世界のどこかにいるんだろうけど映さないことで、それを匂わせるに留めたんでしょう。なので、その三人の中で姿を映せるのはタマしかおらず、この最高のラストカットのためにも登場いただいた、ということでしょうか。どうせなら、野原に腰をおろす繭の後ろ姿くらいは、映してくれてもよかった気がしますけどね。

 【総括】
 当初はポストまどかを狙った作品、なんて揶揄されていましたが、カードがメインで登場することや、セレクターバトルの理不尽さ、そして続きが気になる内容に音響周辺など、色んな部分で差別化ができ、いつの間にかとても楽しく最後まで見てしまっていました。それどころか実際のカードゲームにまで手を出してしまった始末ですが、このカードの売り方も巧みというか、あくまで「アニメに登場するカード」という風に、アニメのいちアイテムとして扱っている感じが、やっぱり他のカードアニメと違いますよね。他のカードアニメのスタンスが悪いわけじゃないですが、この扱い方であれば、アニメグッズとして手を出しやすく、ゲームをプレイせずとも買う人とかもいそうです。
 しかも友達というテーマは、対戦相手を探すことにも通じますが、同じくタカラトミーアーツのプリパラでも、友達というものを大事にしていますし、はからずも同社製アニメでテーマが共通していたのがよかったです。友情の素晴らしさを、このアニメでも思い知ることができました。
 脚本的なギミックが満載なので、一度見てしまうと「見返す」という行為には適さないタイプの作品かもしれませんが、見返すたびに新たな発見とかもありそうですし、出会った頃の彼女たちや、変化していく前の頃などが見れる意味でも、見返すのはそれはそれで一興でしょう。ある意味、一部のキャラのお陰で名シーンの多い作品にもなりましたし(苦笑)。

 というわけで、selector spread WIXOSS まるごと感想でした。

 二期であまりにも綺麗に完結してしまったため、続編がほぼ期待薄なのが辛いところですが、カードゲームというのはアニメと連動させてこそ、という風潮はありますし、それが一種のセールス方法として確立しているところがあります。それに、繭が実験されていたのは「はじまりの少女」を模倣するためじゃないか、という仮説があるので、そのことに触れる形で続編なんかをやってくれると嬉しいですね。
 もちろん、そうでなくても「ある場所のあるルリグ」みたいな感じで、サイドストーリーは作りやすい構造をしていますし、漫画版のアニメ化など、手段事態は多いので、是非とも春アニメとかで、またウィクロスをやってくれたらなぁと切望するばかりです。
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